制作の舞台裏

SECOND KITCHEN STORY

セカンドキッチン

茶席の亭主のように、家の中に人をもてなす場所がほしいと思った。
人を家に招くことはそこまで多くないから、主に家族をもてなす場所。

我が家では日々、「ありがとう」という言葉が当たり前のように飛び交っている。
洗濯物を干してもらったら「ありがとう」、夕飯を作ってもらったら「ありがとう」、
何かをするたびに「ありがとう」と言い合う習慣がある。

基本的には家事などはやって当たり前のことではないし、当然義務でもない。
本来は自分のことは自分でやらないといけないが、代わりにやってくれたことに対して感謝を伝えるというのは人として当然、というのが我が家での基本的なスタンスだ。

最近、仕事に割く時間の長さの関係上、家事・育児が相手に偏ってしまい、
「ありがとう」を相手に言うことのほうが多くなってきた。

「ありがとう」の言葉の数だけ「ありがとう」の価値は薄れているような気がしていた。

言葉だけではなく、何か行動で感謝の気持ちを伝えることはできないかなと考え始めたのが数年前。

そんな話を友人にするとハーゲンダッツを買って帰るといいという話を聞いたが、
毎回ハーゲンダッツというのはハードルが高い。

僕は時間があるときに妻と、お茶やコーヒーを食後にいれて二人で一緒に飲むことがある。
すべてが終わった寝る前のちょっとした時間に、妻にお茶やコーヒーを振る舞うのだ。
この時間は夫婦で悩みや最近の出来事を共有する大切な時間になっている。

この時間をもっと特別なものにできれば、ハーゲンダッツを買わなくてもそれで十分なのでは?と考え始めた。
お茶を淹れる行為そのものがハーゲンダッツを買って帰ることのようにわかりやすく感謝を伝える行動にできないかなと。

そこで茶室のように、お茶を入れる行為そのものを特別なものにすればいいと考えたのが、
SECOND KITCHENの考え方の原型になっている。

家の中に茶室を作ることはできないが、リビングの中にキッチンとは別の、小さなキッチンをつくってみてはどうか。茶室の亭主がお客さんにお茶を振る舞うように、その小さなキッチンで家族にお茶やコーヒーを振る舞うのだ。

実際にやってみると、お茶やコーヒーをいれる行為が思っていた以上に特別なものになった。
やっている本人も、舞台に立っているような気持ちになり(仮に誰も見ていなくても)、実に楽しい。

自分自身も楽しめて、家族にわかりやすく感謝の気持ちを伝える場所、
それがSECOND KITCHEN。

ぜひ一度試してみてほしい。

※しかし、アンティーク品でSECOND KITCHENを制作しているため、作れる数が非常に少ないというのが現状。ご希望の方はお早めに。